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概 要

大阪公立大学校舎
活用シーン
大学内研究施設
(共用研究機器センター、および各キャンパス研究室)
用途
研究/分析機器(SEM、TEM、XRD、質量分析計、共焦点顕微鏡、極低温測定装置など)のリモート操作・監視、および解析用ワークステーションの遠隔利用と学内ユーザー、および学外機関(他大学、公的機関、民間企業など)との機器共有

大阪公立大学では実験機器・分析機器の学内共有を進めるだけでなく「大阪公立大学共用研究機器センター(OShaRE)」をハブとして民間企業をはじめとする外部機関との連携、および機器の利用促進にも積極的に取り組んでいます。これは文部科学省の「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の採択を受けた取り組みの一環であり「機器の共用化」「外部への開放」「遠隔化」が重要なミッションとなっています。
しかし、実験機器を制御するPCには古いOS(Windows XPなど)が使用されていることも多く、大学の厳格なセキュリティポリシーのもとでこれらをいかにしてネットワークに接続し遠隔化するかが最大のハードルでした。同大学は、ハードウェアベースでOSに依存せずセキュアな遠隔操作を実現するATENの「IP-KVMスイッチ」を採用。大規模な導入を最適なコストで実現し、移動時間の削減による研究効率の飛躍的な向上と産学官連携・オープンイノベーションに向けた強固な基盤整備を達成しました。

導入先
大阪公立大学ロゴ
大阪公立大学
https://www.omu.ac.jp/oshare/
大阪公立大学教授
研究推進機構教授 宍戸 寛明 様
大阪公立大学共用研究機器センター:
導入支援

キコーテック株式会社ロゴ
キコーテック株式会社
https://kiko-tech.co.jp/

資料を読む

構成図

構成図

導入現場

各共用実験室以外にも2025年に建設された
「イノベーションアカデミー共創研究拠点(スマートエネルギー棟)」にも多数導入

イノベーションアカデミー共創研究拠点
(スマートエネルギー棟) 施設概要
スマートエネルギー領域においてネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化やスマートビルの社会実装に向けた学内研究シーズの実証実験及びオープンイノベーションの場として企業との共創研究やスタートアップ創出を推進するための産学官民リビングラボ施設。
大阪公立大学が持つ総合知を核に学内・学外の人が自由に交流し共創を生み出していく拠点。

所在地:大阪府堺市中区学園町1番1号(大阪公立大学中百舌鳥キャンパス内)
施設廊下
分析装置
スマートエネルギー棟の2階には様々な分析機器メーカーの最先端の機器を設置した共創オープンラボを整備しています。

IP-KVMはそれらほとんどの機器に接続されており、学内及び学外から最先端の機器を遠隔利用することが可能です。
スマートエネルギー棟に設置された分析機器
機器IP-KVM接続された研究装置

インタビュー:導入の背景と今後の展望について

大阪公立大学 研究推進機構 教授の宍戸寛明様にIP-KVM導入の背景、システム構築の工夫、そして今後の展望についてお話を伺いました。

1. J-PEAKS採択と「大阪公立大学共用研究機器センター」のミッション

Q. 大阪公立大学共用研究機器センター設立の背景と、遠隔化プロジェクトの目的をお聞かせください。

宍戸様:
旧大阪市立大学の「研究基盤共用センター」と旧大阪府立大学の「ナノスクエア研究拠点」で行われていた機器共用の取り組みが大学統合を機に一つになり、「研究基盤共用センター」が設立されました。これが発展して現在の大阪公立大学共用研究機器センターが発足しました。

今回のプロジェクトの大きな推進力となったのは文部科学省の「J-PEAKS(地域中核・特色ある研究大学強化促進事業)」に採択されたことです。この事業では大学改革を進め機器の共用化を推進することが求められています。

その申請において「遠隔化を実施し外部(民間企業を含む)に対しても機器を開放する」というミッションを掲げていました。 国内の機器メーカーと提携したショールーム化を進めると同時に既存の共用機器についても遠隔化を進め、産学官連携やイノベーション創出のツールとして活用することが目的です。

地域中核・特色ある研究大学強化促進事業
Program for Forming Japan's Peak Research Universities
J-PEAKSロゴ

大阪公立大学 共同研究機器センター & 医学研究科 共同実験機器施設

〒599-8531
大阪府堺市中区学園町1番1号
(中百舌鳥キャンパス)
〒558-8585
大阪市住吉区杉本3丁目3番138号(杉本キャンパス)

https://www.omu.ac.jp/csrc/contact/index.html

機器利用方法

ご相談・お問い合わせ
(原則無料)

ホームページのお問い合わせフォームに必要事項をご記入の上、送信ください。

本人測定・依頼測定
2

測定・分析依頼
申込方法をご案内いたします。

3

測定・分析
担当スタッフと打ち合わせを行います。

4

結果報告・利用料金の支払
分析結果をご報告します。

学術指導・共同/受託研究
1

技術相談(原則無料)
担当スタッフが確認します。

2

契約・費用試算
必要に応じ契約締結します。

3

結果報告・支払
測定・分析を支援します。

2. 厳格なセキュリティ要件と古いOSという障壁

Q. 遠隔化を進めるにあたりどのような課題がありましたか?

宍戸様:
最大のハードルは「セキュリティ」でした。
大学の厳しいセキュリティポリシーとどう折り合いをつけるかが非常に大変でした。
前提として、測定機器に繋がっている制御用PCを直接ネットワークに繋ぎたくないという要件がありました。中にはWindows XPで動いている古い機械もあり、サポートの切れたOSをネットワークに繋ぐことは大学のポリシー上、絶対に許可されません。
そのため、リモートデスクトップのようなソフトウェア的な解決策は最初から選択肢から外れました。

3. ATEN IP-KVM選定の決め手

Q. 最終的にATEN製品を選定された理由は何でしょうか。

宍戸様:
技術職員からの提案でIP-KVMの存在を知り調査したところ、旧大阪市立大学の医学部(城戸先生)が既にATEN製品を導入されている事例があることが分かりました。
実際に実機を見学し、これなら問題なく要件を満たせると確信しました。

また、コスト面でのメリットも絶大でした。機器メーカーが提供している専用の遠隔システムを導入しようとすると途轍もなく高価ですが、ATENのIP-KVMを採用したことで当初の想定していた予算よりも低コストで構築することができました。その結果、1台あたりの導入コストが抑えられ、J-PEAKSの予算を使って当初の予定よりも多くの既存共用装置を遠隔化することができました。
予算の有効活用という点で非常に大きな効果がありました。

4. 学内・学外を分けたセキュアなシステム構成

Q. 実際のネットワークやアクセスの仕組みはどのように構築されていますか?

宍戸様:
論理的にネットワークを分けています。学内向けには「遠隔操作用のバーチャルネットワーク」を構築しその中にIP-KVMとユーザーを登録しています。学内の教職員であれば大学のVPN等を通じてこのバーチャルネットワークに入り安全に操作が可能です。

一方、外部(学外)の利用者が学内ネットワークに直接入ることは絶対にできません。
そこで、外部企業の方には独自に構築したリモートアクセスサービスを利用してもらうこととしました。専用のサーバー経由でセキュアに接続できる仕組みを構築しました。これによりポリシーを守りつつ外部への共有が可能になっています。

構成図

5. 長時間実験の無駄を省き研究効率が劇的に向上

Q. 導入後、研究現場にどのような変化がありましたか?

宍戸様:
私自身の研究である極低温環境下の物性測定などでも大いに役立っています。液体ヘリウムを使う低温実験は冷却するだけで3〜4時間、測定に2〜3日かかることもざらにあります。従来は試料が壊れていないか、測定がどこまで進んだかを確認するためにいちいち実験室まで見に行く必要がありました。IP-KVM導入後は装置の前まで行かなくても自室から様子が見られ、遠隔から次の測定シークエンスを走らせることができます。

移動や待機という「無駄な時間」をカットでき時間の有効活用と研究のスピードアップに直結しています。また、装置の制御PCだけでなく「解析専用のPCを遠隔化してほしい」という学内ニーズも非常に高くIP-KVMの導入によって利便性が大きく向上しています。

6. J-PEAKS事業の成果と今後の展望

Q. 今後の機器共用ネットワークの展開についてお聞かせください。

宍戸様:
J-PEAKSの理念でもあり大学のミッションでもある「地域貢献」を果たすため、民間企業など外部の方々に共用機器を積極的に使用いただきたいと考えています。

大阪公立大学共用研究機器センターでは単に共有するだけでなく有償での利用促進を進めています。現実的な話として高額な機器の維持・更新費用を得るためには外部の方に使っていただくマネタイズの仕組みが不可欠です。この遠隔システムが、その強力なインフラになると期待しています。

運用から見えてきた課題とATENへの期待

インタビューを通じて今後の運用拡大に向けて解決すべきいくつかの課題とATENへの機能追加の要望が挙げられました。

1.ユーザー管理の省力化

現在、学内のバーチャルネットワークに対するユーザーの払い出し(アクセス権の付与)は管理者が手動で行っています。今後、利用者が増えるにつれてこの「学内バーチャルネットワーク用のユーザー管理をいかに省力化するか」、そして「Secomea経由(外部ユーザー)の管理も同様にいかに自動化・省力化するか」が運用上の大きな課題となっています。

2.データの安全な取り扱いと受け渡し

現状、セキュリティの観点から遠隔でのデータの持ち出し(アップロード等)は禁止しています。しかし、利便性を高める上で「測定データをどうやって安全に渡すか」は避けて通れません。

3.「一方通行」のバーチャルメディア機能の要望

データの安全なやり取りの解決策として宍戸様より「データのダウンロード(取得)は可能だがアップロード(書き込み)は不可にできる、一方通行のバーチャルメディア機能が欲しい」との強い要望をいただきました。

ATENは大阪公立大学様の遠隔利用の高度化と効率化、
機器共用のさらなる推進と産学連携の拡大の活動に引き続き寄与していきます。

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