導入場所と用途
Q. ATEN製品の導入場所や用途を教えてください。
湯村様:
主に本社7階の3つの副調整室(サブ)と中継車に導入しています。各サブやIP中継車から、セットアップPCを介して離れた場所のテロッパー、Dante、スイッチャーなどを操作できる構成です。

ケーブルテレビ徳島株式会社
コンテンツ事業部長 湯村修平様
導入背景
Q. 当社の製品を導入いただいた背景にはどのようなことがあったのでしょうか。
岩佐様:
地上デジタル放送移行時にサブのシステムを更新しましたが、そこから約15年が経過し、2022年に再びシステム更新の時期を迎えました。当時、サブの設計を担当していたソニー様から、ATENのシステムを紹介されたことがきっかけです。2025年には中継車にもATENのIP-KVMを導入しました。狙いは、サブ側のテロッパーやノンリニア編集機を中継車でも操作できるようにすることでしたが、逆にサブから中継車機材を操作することも可能になりました。

ケーブルテレビ徳島株式会社
ネットワーク技術部長 岩佐達矢様
IP化に至った経緯
Q. 地方局、ケーブルテレビ局でのIP化としては、かなり先駆的なのでは?
岩佐様:
更新時にはベースバンド伝送を継続するかIP化するかを議論しました。放送システムは10年以上使い続けるため、「このタイミングを逃せば次はない」と判断。2019年に社内でIP化を推進する方針を固めました。
当時は4K放送への対応に向け、3G Quadや12G-SDIも検討しましたが、ソニーがSMPTE ST-2110(IP伝送規格)を発表したことで「実用段階に入った」と判断し、IP方式を選びました。
当時は4K放送への対応に向け、3G Quadや12G-SDIも検討しましたが、ソニーがSMPTE ST-2110(IP伝送規格)を発表したことで「実用段階に入った」と判断し、IP方式を選びました。
湯村様:
当社では技術人員が限られており、トラブル対応で現場に駆けつける負担が大きい状況でした。当時はケーブルが多く環境も複雑だったため配線を減らし、リモート対応が可能になれば技術スタッフの負担を軽減できると考えました。こうした発想が、IP化の社内提案につながりました。
中継車の利用状況について
Q. 中継車の稼働状況はいかがでしょうか?
湯村様:
阿波踊りをはじめ、地元スポーツや高校野球、高校総体などの中継で稼働しています。秋以降はイベントが集中し、高校の定期演奏会では1週間連続で収録することもあります。選挙中継にも使用しており、今夏の高校野球では約1か月間ほぼ毎日稼働しました。

図左より【中継車】 【中継車のサーバラック内機器】 【中継車内のATENドロワー「CL3800」】
Q. サブと中継車を繋げる専用回線はどのような回線でしょうか?
■ サブと中継車を結ぶ通信回線
岩佐様:
DWDM(波長分割多重方式)で32波構成、うち16チャンネルを運用し、1チャンネルあたり10Gbps、合計160Gbpsの帯域を確保しています。
湯村様:
県内ケーブル局は光回線で相互接続しており、球場やホールなど主要施設にも光が敷設されています。自社ファイバー網を活用することで外部回線を借りる必要がなく、コスト面でも有利です。
岩佐様:
自前の光ファイバー網を持ち、外部事業者から回線を借りる必要がない点は、ケーブル局ならではの強みです。また、中継車とサブをつなげる回線にはKVM以外にも放送で使用する映像と音声も伝送しており、各系統にチャンネル分けして運用しております。
Q. 当社の製品導入でどのようなメリットがありましたか?
湯村様:
最大のメリットは機材のリソース共有です。リモートで同じ機材を操作できるため、設置スペースを減らし、コストも削減できました。たとえばテロッパーは以前、サブごとに用意する必要がありましたが、今は3つのサブと中継車で共有できます。ノンリニア編集機やスロー再生機(リプレイ映像などを再生する機器)も同様に共有できるため、機材の運用効率は大きく向上しています。

サブ内。画面中央のモニター横にATENの延長機「KE6900」の受信機がある。
岩佐様:
技術スタッフの呼び出し回数も減りました。以前は小さな設定変更でも不安があり技術スタッフを呼んでいましたが、IPシステムではクリック操作で完結し、心理的なハードルも下がりました。特に若手はスマートフォンを操作する感覚で扱えるのかもしれません。
運用体制の変化
Q. 業務に関わる人数に変化はありましたか?
岩佐様:
人員自体は減っていませんが、中継車に配置していたスタッフをサブ側に回すなど柔軟な運用が可能になりました。従来は中継車の横に機材車を置いてスロー再生機の操作を行っていましたが、今はネットワーク経由で連携でき、車両が1台減りました。これにより、小型の中継車でも機材と人員を効率的に配置できるようになりました。
ケーブルTV局でのIP化の課題とは
Q. ケーブルTV局でのIP化の課題は何でしょうか?
岩佐様:
当社ではネットワーク担当と制作技術を兼任していたため導入はスムーズでしたが、放送局では担当が分かれている場合が多く、運用面でハードルになることもあります。ただし、ケーブル局はネットワークと技術を兼任する人材が多い傾向があります。その意味では、IP化のシステム導入をしやすい下地が整っていると思います。
導入後の反響
湯村様:
導入後、他局からの関心が高まっています。地元民放局の見学に加え、レスター様と共催で四国各局を招いた高松でのイベントも開催しました。他県のCATV局からの見学も多く、放送業界全体からの注目度の高さが感じられます。
※本記事は2025年9月下旬に行った取材を基に構成しています。
【取材協力】
ケーブルテレビ徳島株式会社
コンテンツ事業部長 湯村修平様(左)、ネットワーク技術部長 岩佐達矢様(右)
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