HDR 配信の準備はできていますか? |4K60p HDR対応で映像品質を最大限に
HDRは深みのある黒や明るく鮮明な白、広い色域を実現し、4K UHDだけでは表現しきれなかった映像体験を可能にしました。その進化は、テレビコンテンツ業界にも大きな影響を与えています。
そのHDRコンテンツ、本来のクオリティで届いていますか?
かつてビデオディスプレイ業界では、4Kの高精細映像に注目が集まり、8Kの登場にも期待が高まっていました。 しかし現在、テレビ業界で最も注目されているのは、HDR(高ダイナミックレンジ)テクノロジーの普及です。 これにより、4K60p映像もコントラストや色の深みといった面で大きく進化しています。 では、HDRとは何か? なぜ今、それに備える必要があるのでしょうか。
HDRが“黒の深み”を生み出す
コントラストは人の視覚にとって重要な要素ですが、従来のテレビやディスプレイは黒や影の細部表現に課題がありました。HDRはこの問題を改善し、より自然でリアルなコントラスト表現を可能にします。家庭用4Kにとっても、HDRは大きな進化といえます。なお、HDRに対応していない映像は現在、SDR(標準ダイナミックレンジ)と呼ばれています。
4K Ultra HDテレビは高解像度により多くのピクセルを表示できますが、HDR対応テレビはその同じピクセルでさらに多くの表現が可能です。HDRはハイライトだけでなく暗部にも焦点を当て、広いダイナミックレンジで映像を描写します。暗い部分の色彩や質感をつぶさず再現し、明るい部分も白飛びさせることなく描き出します。簡単にいえば、HDRは暗部をより深く、明部をより鮮やかに表現し、ポストプロダクションで調整された追加の色階調によって、映像の明瞭さと鮮やかさを向上させる技術です。


HDRテクノロジーはSDRよりも広範な色とコントラストを提供し、SDRよりも鮮やかなビデオを提供しています。
静的HDRと動的HDR
しかし、HDRの進化はそれだけではありません。HDRはSDRと比べて大きく改善されており、実際には2種類のHDRが存在します。それぞれが異なるレベルの視覚効果を提供します。
両方のHDR規格は映像に拡張されたコントラストや明るさ、細部の表現を加えることができ、特にダイナミックHDRではシーンごとやフレームごとに最適な映像調整が可能です。この手法により映像の瞬間ごとに理想的な明るさやコントラストが再現され、制作意図に沿った表現が実現できます。一方の静的HDRは全シーンに共通のメタデータを適用する方式ですが、それでもSDRよりもはるかに優れた映像体験を提供します。

左画像:静的HDRが全フレームに共通設定を適用
右画像:動的HDRがフレームごとに最適な設定を適用
HDRフォーマットと支配権争い
現在、HDRにはHDR10・ドルビービジョン・HLGという3つの主要フォーマットがあり、それぞれに異なる業界サポートと特性があります。さらに、HDR10+やSL-HDR1といった新しいフォーマットも登場しています。
HDR10
もっとも一般的なHDRフォーマットで、2015年にCTA(米国民生技術協会)が策定した公開規格です。
無料で使用でき、ほとんどのHDR対応テレビが対応しています。
NetflixやAmazonなどの配信サービス、多くの4K Ultra HD Blu-rayで採用されており、Dell、LG、Samsung、SHARP、SONYなどの主要メーカーも対応機器を製造しています。ただし、HDR10は静的HDRのみをサポートし、SDRテレビとの互換性がないため、放送用途にはやや不向きです。
ドルビービジョン
HDR10をベースに開発されたDolby社の独自フォーマットで、動的HDRに対応しています。
NetflixやiTunesなどの配信サービスが採用しており、2017年の対応テレビの登場以来、多くの支持を集めています。
企業は使用にあたってライセンス料を支払う必要がありますが、代わりにDolbyから技術サポートや最適化ツールが提供されます。主要な映画スタジオ(ソニー、パラマウント、ユニバーサルなど)もコンテンツ提供で参画しています。
HLG(ハイブリッドログガンマ)
BBCとNHKが共同開発した放送向けHDRフォーマットです。
最大の特徴は、SDRテレビとの後方互換性があること。
HLGはメタデータを使わず、SDR信号の上に追加の輝度情報(ログカーブ)を重ねる構造で、従来のテレビでも問題なく視聴可能です。画質はHDR10やドルビービジョンに劣るとされますが、放送現場との親和性が高く、BBC iPlayerやYouTube、Freeview Playなどで利用されています。

この画像は、SDRのガンマカーブとHLGの対数カーブを重ねて表示したものです。
SDRテレビではこの信号を標準の明るさとして表示しますが、
HLG対応テレビでは上乗せされたリニアな明るさ成分を利用し、より高い輝度で映像を表示します。
HDR10+
HDR10+は、2017年にSamsungとAmazonが共同で発表した公開規格のHDRフォーマットです。
最大の特徴は、動的メタデータに対応している点で、シーンごとやフレームごとに明るさやコントラストを最適化することで、暗い場面も明るい場面もより鮮明に表現できます。
さらに、HDR10+はHDR10エンコーダーを使う機器との後方互換性を持ち、導入しやすい点も特長です。このフォーマットは原則としてロイヤリティフリーですが、一部の業界関係者からは運用面での懸念も示されています。
それでも対応機器やサービスは増えており、Samsung、Panasonic、20th Century Foxなどが参加するHDR10+ Allianceを中心に普及が進んでいます。Amazon VideoはHDR10+対応コンテンツを提供しており、Warner BrosやPanasonicのUltra HD Blu-rayプレーヤーもこの規格に対応しています。
SL-HDR1
SL-HDR1は、STMicroelectronics、Philips、Technicolorによって共同開発された独自のHDRフォーマットです。
この規格の特長は、静的・動的の両方のメタデータに対応しながら、SDRテレビや既存の配信ネットワークとも完全な互換性を保つことです。つまり、従来のSDRストリームを活用しつつ、対応機器ではHDR品質で映像を再現できる仕組みになっています。
これにより、インフラを変更せずにHDRコンテンツを提供できるという柔軟性があり、一部の放送・配信事業者から注目されています。
| HDR10 | HDR10+ | ドルビービジョン | HLG | SL-HDR1 |
ライセンス | 公開規格 | ロイヤリティ・フリー | 独自フォーマット | ロイヤリティ・フリー | 独自フォーマット |
Developer | CTA | Samsung | Dolby | BBC / NHK | ST / Phillips / Technicolor |
SDRとの主な比較 | ダイナミックレンジ全体を拡大 | ダイナミックレンジを拡大し、より明るいハイライトを強調します | ダイナミックレンジ全体を拡大 | ||
メタ情報 | 静的 | 動的 | N/A | 静的&動的 | |
SDR下位互換 | No | Yes |
現在の主なHDRフォーマットの比較表
ATENは、HDR映像を高品質で届けるためのソリューションを提供しています。
HDRコンテンツやHDR対応ディスプレイへの期待が高まる中で、それらを確実に繋ぐためには、適切なインフラと機器が必要です。
ATENの製品は、こうした環境の構築を支援します。

* ATENの4K60pシリーズは、主要なHDRフォーマットすべてに対応しています
ATENでは、HDR映像を最高品質で届けるため、4K60p HDR対応製品のすべてに対して厳密なテストを実施しています。
各製品がHDRコンテンツに必要な帯域幅に対応しているか、また、安定した出力を実現するためのEDID設定を備えているかを確認しています。また、すべての製品でInfoFrameメタデータの伝送が保証されており、ダイナミックHDRによる映像の豊かな表現を余すことなく再現できます。
ATENのHDR対応製品は、最大18Gbpsの帯域幅やHDCP 2.2に対応し、高性能な信号拡張、ルーティング、分配を実現します。スプリッターやスイッチだけでなく、ビデオウォールプロセッサを内蔵したマトリックススイッチもラインアップに含まれており、HDR映像を必要とするあらゆる用途に柔軟に対応できます。
■ ATENのHDR対応4K60pシリーズについては、こちらをご覧ください:
https://www.aten.com/jp/ja/product-landing-page/true-4k-hdr/products/
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